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主な支援事業



高付加価値サービス
創出支援事業

市内の中堅・中小企業様を対象に、高付加価値サービスの創出に向けた新規事業開発・オープンイノベーションの取り組みを支援する補助金事業ならびに支援プログラムを提供しております。

高付加価値サービスとは?

高付加価値サービスは、独自性と希少性を兼ね備えた高品質な商品やサービスを提供することで、顧客体験を向上させるものです。高い機能、新しい機能、使いやすさ、使い心地、デザインの良さなど、利用者にとっての価値を高める商品やサービスを指します。

高付加価値サービスの事例

株式会社エンジニア(工具製造業)

現場のニーズに応えた製品開発

  • 「潰れてドライバーで回せなくなったネジを外したい」との要望から、ネジの頭を掴んで回せるよう保持力を高める独自設計を施した製品「ネジザウルス」をはじめとして、現場のニーズに応えた製品を数多く開発している。
  • 工作室で自由なアイデアを出し合い、その場で試作もする「フライデーラボ」等の取り組みにより、工具の困りごとの解決策を多角的に考え抜く組織風土が開発を支えている。
ねじ外し用の機能を持つペンチと、先端部分の拡大図。

社長独自の製品開発戦略

  • 「MPDP戦略」と呼ばれる社長独自の戦略により、多数のヒット商品が生み出されている。
  • 同戦略は、現場のニッチなニーズを徹底して探るM(マーケティング)、社員の5割が特許に関する国家資格を有するP(パテント)、一般ユーザーが工具を利用するきっかけになるD(デザイン)、映像や実演販売を徹底して客の注意を引くP(プロモーション)の4点から構築されている。

有限会社中村印刷所(印刷業)

使い勝手の良さ

  • 「水平開きノート」は、ノートを180度水平に開くことができるため、中央を跨いでも図表を描くことができ、使い勝手に優れている。2014年に特許を取得している。

高度な技術

  • 0.1ミリ厚(お札の厚さ)の紙を二つ折りにして貼り合わせる無線綴じの手法で製造するが、厳密な貼り合わせが要求される。接着剤が強すぎるとノートが開かず、弱すぎてもバラバラになる。
  • 糊の開発、貼り合わせ技術の開発に2年半を要した。
表紙の色やデザインが異なる5冊のノートが広げられている。

SNSによる認知度の向上

  • SNSでの拡散が大きな反響を呼んだ。他の事業者との共同研究にもつながっている。

出展:株式会社三菱総合研究所(2020年3月) 令和元年度産業経済研究委託事業「商品・サービスの高付加価値・高価格販売事例集」

高付加価値サービスの身近な事例としては上記以外にも、摩擦熱でインクの色が無色に変わる「消せるフリクションボールペン」や、何度も貼り付け・剥がすことができる付箋「ポスト・イット®」など、ユニークな機能により広く市場に受け入れられています。

高付加価値サービスの創出はなぜ必要?

新規事業による高付加価値サービスの創出は、「企業が長期的に生き残り、成長し続けるための必須手段」であり、「社員が自ら考え動くことで組織の活力を生む」という、経営面と人的側面での両方で重要な役割を果たします。

「企業の成長・存続」と「社員のモチベーション」の関係を示す図。

企業の存続・成長のため

これまでの経済の歴史を振り返ると、どのような花形産業もいずれ衰退し、近年はそのサイクルがますます速くなっています。また、自動車のモデルチェンジや、iPhoneの最新モデルの発表からも明らかなように、同じことだけをやり続けること・同じものだけを作り続けることはリスクをはらみます。
既存事業が市場の変化や競合の進出で先細るリスクが高まる中、継続的に成長し続けるには新たな顧客価値を創造する必要があります。

社員のモチベーション・幸せへの寄与

新たな顧客価値の創造に関わることは、自ら課題発見・解決に携わることで仕事へのやりがいを増し、組織全体の活力にもつながります。
こうした内発的動機付けが人材を育み、企業の成長を後押しするだけでなく、従業員の活躍や働きがいの創出は、離職率の低減や採用力の向上といった副次的な効果もあります。

高付加価値サービスの創出において抑えるべきポイント

  1. 1やりたいことに執着しすぎない

    これまでの経済の歴史を振り返ると、どのような花形産業もいずれ衰退し、近年はそのサイクルがますます速くなっています。また、自動車のモデルチェンジや、iPhoneの最新モデルの発表からも明らかなように、同じことだけをやり続けること・同じものだけを作り続けることはリスクをはらみます。
    既存事業が市場の変化や競合の進出で先細るリスクが高まる中、継続的に成長し続けるには新たな顧客価値を創造する必要があります。

    大きなパソコン画面を囲んでデータを分析する人々のイラスト。

  2. 2「知っている」と「できる」は違う

    いくら書籍やセミナーで学んでも、実際に行動してみなければ本当に「できる」状態にはなりません。知識はスタート地点に過ぎず、試作品の作成や顧客との対話を通じた実践で初めて、課題を解決する力やノウハウが培われます。
    「まずやってみる」という姿勢をもち、こうした“現場”から直接学びを得ることが⼤きな成果につながります。

    大きな本の上に立ち、疑問について考える人々のイラスト。

  3. 3唯一の正解はない

    新たな価値創出のアプローチには、技術や市場、社会課題といった起点によって異なることに加え、産業ドメインや業態によっても多様な方法があります。
    市場環境や自社の強み、チームの特性によって適切な手段は異なるため、一つの「型」にとらわれず複数の手法を組み合わせることが大切です。試行錯誤を重ねながら自社に合った方法を見極めましょう。

    円卓を囲んで会議をするビジネスパーソンのイラスト。

  4. 4顧客ニーズを深く理解する

    顧客インタビューや試作(MVP)のテストを通じ、顧客が本当に望むものを掘り下げることが不可欠です。
    単なる希望(ウォンツ)ではなく、その背景にある真の課題(ニーズ)を見極めてこそ、提供価値が高まり選ばれるサービスへと成長します。実際のユーザー視点を積極的に取り入れれば、想定外の改善点も見つかるでしょう。

    課題発見から解決までの流れを表したビジネスイラスト。

  5. 5自社リソースの活用と外部連携

    新たな価値・事業の創出では、自社に蓄積された技術や設備、営業網、ブランド力などの強みを活用することで、スピードやコスト面で有利に進められます。
    同時に、オープンイノベーションなど外部パートナーとの連携を図ると、補完関係生まれ新しい価値を創出しやすくなります。

    大きな契約書の上で交渉が成立する様子を表したイラスト。

外部連携の重要性

「企業内で⾏うイノベーションは全体の30%にとどまり、残り70%は企業外の組織との連携によって⽣まれる」という研究(※1)にも⽰される通り、新たな価値・事業を生み出すうえで、社内資源やノウハウだけに依存していては限界があります。
結論から言えば、どれだけ外部と組めるかにかかっているということです。

クローズドイノベーションとオープンイノベーションの違いを示した図。

出展:文部科学省「平成29年版科学技術白書」を基に作成

急速に⾝近な存在となったキャッシュレス決済サービス「PayPay」も、通信・IT系のスタートアップの技術と、大手企業の営業ネットワークの掛け合わせがその成功のカギと⾔われており、個社だけで実現できたものではないのです。
こうした連携は単なるコスト削減策ではなく、互いの強みを掛け合わせ、より価値の高いサービスを生み出すことを目的とするのがポイントです。外部との協力をうまく取り込むことで、事業創出のスピードや成功確率が格段に高まります。

さいたま市内企業における高付加価値サービス創出の取り組み

このページでは、実際に外部連携等による高付加価値サービスの創出に取り組む市内企業のインタビュー記事を掲載しています。

詳しくは下記までお問い合わせください。

お問い合わせ先

公益財団法人さいたま市産業創造財団 企業支援課

MAIL:shien@sozo-saitama.or.jp

TEL:048-851-6652

【引用】
1: Breunig, R. & Bakhtiari, S. (2013) Outsourcing and innovation: An empirical exploration of the dynamic relationship.
The BE Journal of Economic Analysis & Policy, 13(1), 395-418